イギリスと北アイルランドを訪ねて

今月のイエローズ・スピリットは、イエローチェア・ハウス代表の阿部がイギリスや北アイルランドを旅してきた話を対談形式でお送りします。
対談相手は、以前、一緒にイギリスを旅した山田タポシ氏。阿部代表曰く、「なにをしている人と紹介していいかわからない」というタポシさん 。
(編集者注記:ラジオパーソナリティ、水戸短編映像祭コンペティション部門の司会などをされています)

実は、以前、一緒にイギリスを旅しているということで、お話をしてもらいました。そして、お二人は幼馴染みでもあります。はてさて、どんなお話になるのでしょうか ?! お楽しみに!

イギリスとアイルランドの歴史に思いを馳せる

山田タポシ(以下、T)「えーっと、一緒にイギリスに行ったのっていつだったっけ?」

阿部代表(以下、A)「いつだっけ?」

T「まぁ、いいね」

A「……だね」

(編集者注記:よくありません! お二人がイギリスを視察してきたのは2010年6月。その時のようすは「イギリス渡航記(やっちまった……!)」を御覧ください)

T「その時も井形慶子さんのツアーで、今回また同じツアーに参加してみようと思ったのは?」

A「コッツウォルズなど前回と同じ外せない鉄板のツアーメニューに加えて、今回は北アイルランドとロンドンのハムステッドという地区を訪ねるということだったんで……」

T「前回、一緒にツアーに参加したものの、あんなに大変だとは思わなかったというくらい、すっごく疲れて(笑)…… 今回はどうだった?」

A「今回も、すっごい疲れた(笑)」

T「ホント、“ツアー”っていうのを馬鹿にしていたというか、あの、ご婦人たちの好奇心と体力には本当に感服(笑) でも特定の分野やご当地に詳しい人と一緒にいくツアーって、やっぱり違うなぁとも思った」

A「そう、そこは本当に違う! そこにお金を払っていると言ってもいいくらい。だから今回も井形さんの博識に感心しつつ、独りでは行けないところや知り得ないことに出会えたツアーでした」

T「気になっていた北アイルランドはどうだった? ちょうど出発前に水戸駅南にあるカレー屋さん『カルマ』で食事をしたとき、たまたまアイルランドの人と一緒になって、話が盛り上がったし……」

A「そう。だからちょっとだけ前知識ができたぶん、最初に訪れた北アイルランドの街、ベルファーストには、なんとも言えない緊張感を感じた」

T「アイルランドは、プロテスタントとカトリックの争いやイギリスとの戦争など、凄惨な歴史を背負っているから、そういうものが街の雰囲気にも滲み出てくるのかな?」

A「そうかもしれない。とにかく、僕はそう感じちゃって。特にデリー~ロンドンデリー(Derry~Londonderry)で訪ねた城塞都市(Derry's Walls)やIRA(アイルランド共和軍)の話を聴いてからは、イギリスやアイルランドに対する見方や感情がちょっと変わった」

T「そこに住んでいる街の人にも、なにか特徴があった?」

A「あくまで僕の印象だけど、他のイギリスの街に比べて人が優しい感じがしたかなぁ。だからガイドさんに聞いたら『凄惨な殺し合いをしてきた歴史からの反省なのか、外から来た人には親切に仲良くしようという思いが強いんだと思います』って。なんか余計にアイルランドの人々が抱えている思いを想像して切なくなったなぁ」

T「(写真を見ながら)この壁画は?」

A「普通のアパートに書かれているアート壁画。戦いの記憶を風化させないためにという意図があるみたい」

T「まだ終わっていないんだね」

ハムステッド──ロンドンのシモキタ?!

T「もうひとつ楽しみにしていたロンドン郊外のハムステッド(Hampstead)はどうだった?」

A「とってもよかった! デザインに活かせるという意味では一番の収穫かもしれない。井形さんがほぼつきっきりでいろんなところに一緒に行ってくれて、興味深い話をたくさんしてくれたのよ」

T「それは貴重な体験! 独りでは知り得ないこと、行けないところばかりだったでしょう。聞きかじり程度だけど、ハムステッドって、東京で言うとシモキタ(下北沢)とか吉祥寺に似ているそうじゃない? だとしたら、散策するにしても住むにしてもステキな街という気がする」

A「多くの文化人に愛されてきた街で、映画、文学、演劇関係者も多いからシモキタっていうのも的外れではないかもしれない。それにハムステッド・ヒースっていうロンドンでも最大級の公園があるから吉祥寺的でもある」

(編集者注記:ロンドン中心部から地下鉄で約15分。カムデン自治区にあるハムステッドは、田舎風情の町並みと自然が残る。古さと新しさが絶妙に交じり合ったロンドンきってのリベラリズム息づく地域。こちらの、てん末は阿部代表のブログ「Rough & Laugh」 2 WILLOW ROAD に詳しくあります)

T「なるほど。で、肝心の建物や町並みはどういう感じなの?」

A「よくぞ、聞いてくれました(笑)ここは元々ヴィクトリア調のレンガ作りの建物が立ち並ぶ、小さな田舎の村だったんだけど、そこにMid-Century(British Modern)のさきがけとなる歴史的な建築物が建てられたのよ。
それはアーノ・ゴールドフィンガーという人が1939年に設計した集合住宅で〈2 Willow Road〉という番地がそのまま建物の名前になっていてね、現在はNationall Trust財団が管理している貴重な建築物が現存しているんだ」

T「もちろん観に行ったんでしょ」

A「もちろん!」

T「どうだった?」

A「そもそもこの地域はヴィクトリアンやジョージアン様式の建物が多いんだけど、〈2 Willow Road〉の外観はそれまでの様式とは大きく変わるから住民の猛反対にあったらしいの」

T「へぇー、その“黄金指”さんはすごいチャレンジャーだね」

A「そうね。ある意味、相当な覚悟と信念があった人だと思う。そこは見習わないたいところだけど、もうひとつ、きっとこの建物や設計思想の裏にあった意図みたいのを強く感じたわけ」

T「設計の背景にあるストーリーみたいなもの?」

A「そうそう。この〈2 Willow Road〉ではコンパクトで機能性を重視した設計思想で作られているんだけど、そうした設計思想の根底には、富裕層ではない、普通の人たちやその家族が対象にあったんじゃないかなって。そういうふうに住居というものが、様式美や贅を尽くした富の象徴のようなものから、機能美を追求した暮らしの場を強く意識するものに変わるきっかけになったのかなって……」

T「なるほど。それはいつも言っているイエローチェア・ハウスのストーリーに共通する部分があるね」

A「そう。だから、もっともっとそういう設計思想を現代日本の家族に当てはめながら、自分たちにしかできない、ステキなおうち、暮らしの場づくりをしていきたいなと思った」

T「おぉ、それが先月言っていた新しいデザインシリーズにつながっていくんだね」

A「そういうことです(笑)」

ハムステッドで閃いた新しいデザインシリーズ

A「実は、ハムステッドとは別にイギリスの暮らし方と住居の変遷をまとめて見せてくれる博物館を訪ねたんだけど、これも本当に勉強になった! というか、単純におもしろかったし、NEWデザインを考える上でもとても参考になった」

T「(写真を観ながら)外観だけでなく、内観のデザインや間取り、家具や窓の配置など、具体的にいろんな例が示されているね」

A「でしょう! だから次のデザインシリーズは、時代的にはMid-Century(1930年代中期)で、ブリティッシュ・モダンが芽生えた頃の雰囲気をベースに、機能的にもデザイン的にも、これまでのシリーズにはない、新しいイエローチェア・ハウスの顔になるようなものを生み出せそうな気がしているんだ」

T「それはきっと、古き良きイギリスの様式美をお手本に現代的な機能性を兼ね備えたこれまでのイエローチェア・ハウスの家が、さらに進化して新しい融合が起きそう」

A「期待してて!(笑)」

<編集者あとがき>

ふたりの対談は、まだまだ続き、脱線もしまくりでしたが、阿部代表は旅で見聞きしてきたものをもう一度整理しながら確認するように話していました。
さらに、今回見学してきた「リンカーン・アンティーク・フェア(ブログ記事はこちら)」のような暮らしと家具のフェアのようなものを多くの人たちと協力して作り上げていきたいという抱負も語っていました。近々、イエローチェア・ハウス主催でそんなフェア開催のお知らせができることでしょう。

お知らせ

■7月6日(日) 12:00 ~ 16:00 「KOUKOU TOUR」@水戸市平須町

■7月20日(日)~21日(祝)  「おおらかなカントリーハウス」 OPEN HOME@水戸市

※毎月開催している英国式「ゆたかぐらし&ティータイム」セミナーですが、7月は、お休みになります。

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