図面だけでいい家はムリ!?大切なことは…

今日も、建築屋(ケンチクヤ)としては正直すぎる話題。笑

過去には、幾度となく建築家(ケンチクカ 僕はケンチクヤ笑)に設計された家を手がける機会がありました。超大手、某ハウスメーカーの家を下請けしていたこともあります。

たとえ、どんなに厚い設計図書でも、ちょくちょく間違いというか不整合がありました。

 

文章なら、誤字脱字だけのチェック。

設計図面は、文章と絵、縦に横に、見えないところに見えるところ、材と材との取り合い。それぞれ別個に切り取りながら想像と経験、深い洞察力で描いていきます。まさに青写真。

実際ににカタチ取っていくと、詳しく描かれていればいるほど微妙にずれていることが実に多い。それは、プラモデルのように図面通りに型枠にはめて部材が作られているわけではないからです。

「これ、この図面通りだと、よくないと思うんですが、監督さんいかがですか?」と若かり頃の僕。

「いいから図面通りやって。」と大手ハウスメーカーの監督さん。

こんなことがあり、その対応には驚き、落胆しました。結果、何がどうなったかというと、玄関ポーチの階段の一段めが30センチ。15年以上前の話で、まさか今は、そんなことはないと思います。

いや、いまだに時折ニュースが流れてくるか…

 

誤解を恐れずに言えば、設計図面は精度を上げられても、100点はムリ。80点が限界、残りは現場で補うのがいい。余談ですが、お客様との距離が遠いと、現場にそくさない内容でも図面通りやるわけ。現場は変えるのが面倒で、自分の責任ではありませんからね。

 

さらに工事中でさえ、お施主様の要望なり、上書きされていくもの。だからこそ、本当は現場での検証がとても大切。

何を検証する?

 

 

F様邸では、図面で感じる以上に道路との高低差があります。

パーキングに砕石をひいても、ハッキリと分かる段差です。

基礎全景

 

近くによると、写真でも分かりますね。

玄関ポーチまでのアプローチ

道路から玄関までのアプローチは、スロープにしてつなぐ予定です。

ですが、勾配はできるだけ緩やかなほうがいい。父の介護リフォームのときに痛切に感じました。建築的な基準はあえて無視(暮らしやすい基準でもないので)して言いますが、勾配が強いと健常者でも車椅子を押しにくいのです。

 

そこで、急きょステップを3段にしました。

1段目はほとんど土に埋もれていますが、しっかりありますよ!

玄関階段のステップ3段

これだけでも、スロープは緩くなります。

図面では推し測りにくい、現場対応でした!

 

ミュージックルーム=密閉室

建築基準法では、扱いがあいまいで非居室(継続利用されない部屋)と定義されることもあるので、となると窓も換気扇もいらない、と解釈できます。ところが、夫婦で演奏が大好きで、ご主人は首を振りながらドラムをたたき、その傍で奥さまがステップを踏みつつキーボードを演奏するなんてことを想像すると、換気扇もなく密閉された部屋を作るのはどうだろうか。。

酸素不足でクラクラしている2人の姿を想像するだけでもおぞましい。笑

ロスナイの換気扇なら、吸気口を設ける必要がないので、音漏れを低減しつつ、空気の出し入れが可能です。

ロスナイ換気扇

この仕上げ材の有孔ボードは、音響をよくするために取り付けました。放送室の(知らない?昔の学校の)イメージです。

 

壁の下地には遮音パネルを追加しています。

遮音パネル

黒く見える床は、床材の下にひいた遮音マット。天井には吸音ウールまで仕込んであります!

田舎の一軒家ならいざ知らず、ここはつくばの住宅密集地。

心置きなく、演奏を楽しんでください!

 

バルコニーに出てみると、予定していた物干し金物が…

これでは、洗濯物を干すのにも苦労しそう。

物干し金物位置検討

て言うか、実用的じゃない…設計ミスか!笑

 

そこで、棟梁のAさんと相談。

「ここの方がいいんじゃね?」

 

M様にも承諾いただき、こちらに取り付けることになりました!

物干し金物取り付け位置検討

板の覆いが、目隠しにもなりますしね!

 

設計で読み取るべきは、そこに住む人の新しく素敵なライフスタイルが、創出され盛り込まれているであろうデザイナーの“企て”

 

“デザイン=企て”

「なぜ、ここにこれが必要なのか?こんな動線ならば、ここでもいいのではないか?」「どうしてこのような中途半端な高さなのか?」「このアイデアの意味は?」あてにならない図面を元に、常に現場では、疑問が渦巻いているモノ。

家の場合は、住みてと交わしたラフスケッチの方が、現場では役に立ちます。

 

設計の意図、現場での汲みとり。

 

これこそまさにDesign