水戸市で地震に強い家を作る!|耐震性を話します

若かりし頃に見た阪神大震災のテレビニュース。土煙とともに、家がペシャンコになっている映像は衝撃的でした。

そして、思いだせば苦い感覚がよみがえる東日本大震災の実体験。

 

すいません。嫌な画像を出してしまって……

宮城の海は、父の生まれ育ったところ。親戚も被災しました。就職してからも、2年住んだことがあり、僕にとっては第2の故郷。

 

 

今さら何でこんな話をするのかと言うと、コロナに影に隠れて、最近小さく揺れるよね。そしてもうすぐあれから9回目の3/11が訪れます。それで、現在作っている家はどうなんだろう、また震災が来ても大丈夫だろうか…、とふと思いがよぎったから。

 

二つに分けて話すと、一つは、躯体(骨組み・構造)。もう一つは、外壁。

今日は躯体の話です。

 

僕たちは、在来工法(木造軸組工法とも呼ばれる)を採用している。

一般的に言われている在来工法のメリデメは、メリット→安い。直しやすい。デメリット→弱い。

 

『弱い』部分にどう対処しているかが、注文住宅だろうが建て売りだろうが、在来工法の家を考えているご家族の最大の興味だろうと思います。

 

ちなみに阪神大震災当時は、横浜のアパレルの人で、まさに他人事でした。映像だけのもの。

一方、東日本大震災は、今と同じ家づくりの真っ最中、言わば渦中の人。

 

震災当日の昼下がり、突然の地震と徐々にその揺れが激しくなる中、ついには棚にあるあらゆるものがドカドカと落ちてきて、あの阪神大震災の映像が頭の中でフラッシュバックし、とてつもない恐怖を覚えた。慌てて外に出ると、見えたのはトランポリンの上にあるかのように弾む自分の車。そしてあたりを見渡せば、あたりが曇るほどの土埃(というより杉花粉だったかもしれない)と崩れゆく隣の家の瓦……。

落ち着いたところで、商売上のいろいろな難事があるだろうと改めて覚悟したが、時が少し経ってみると、恐れていた自体にはならなかった。それまでに作らせていただいた建物の損傷は、ごく一部に過ぎなかった。うちは震災前からすでに外壁も内壁も漆喰を採用していて、「地震は大丈夫ですか?」と質問を多くいただいていた。当時の返答は次回語るとして、今では「大丈夫ですよ。」言い切っている。

塗り壁の件は次の話しなので、躯体の話に戻して進めます。

 

もちろん建物の損傷は0ではなかった。

那珂町で残念ながら足元から一部歪んでしまった家があった。ゆるやかな傾斜地の畑のような場所に建てた家だったが、北東の角が地割れとともに地面が落ちていた。家の構造という問題でもなく、地球という大きな面で考えれば自分の無力さを痛感させられたのが、正直なところ。今は地盤が弱ければ、杭補強を施すが、やっていたとしても果たしてどうだったか…

それ以外には、勝手口ドア下の基礎に近い外壁が割れた家が2件。これは、補修の領域で済むものだった。そして家のアプローチに作った出来立てホヤホヤの大谷石のモニュメントが倒壊。引渡し前でこれはさすがに無償で作り替えた。

キッチンタイルなどの目地こぼれ、クラックは、5、6棟あったと記憶しています。

以上、知っている限りイエローチェアハウス 被害の全容はこんな感じ。

 

あしからず、その経験から躯体そのものの耐震性には自信を持ちました。

 

国の基準はどう変わったのだろう。

1978年6月宮城沖地震

1981年6月建築基準法改正①必要壁量・耐力壁の壁倍率見直し

1995年1月阪神淡路大震災

2000年6月建築基準法改正①基礎の仕様 ②筋かい接合部の仕様 ③耐力壁両脇柱の柱頭・柱脚接合部の仕様 ④耐力壁配置の偏心の確認法 が加えられた。性能表示(建築基準法を上回る耐震等級1と2)が施工されたのも同時期

2011年3月東日本大震災

2020年3月現在未改正

建築基準法改正の歴史は地震とともににあるが、今のところ耐震基準は変わっていない。東日本大震災や熊本大地震を経験した今でも強化されていないということは、ある程度、人の命は守られる基準は達成できていると見ているのかもしれない。

東日本大震災では、2階建て以下の木造戸建住宅の被害状況は、近年の地震による被害状況と大きく変わらなかっ た。現行法規を遵守することで一定レベルの耐震性能は確保されている。(木を活かす建築推進協議会より抜粋)

逆に言えば、2000年以前に建てた家であれば、耐震補強をオススメします。ちなみに我が家もそう。でもこれからお金のかかる娘が2人いてお金が出せない。神に祈るのみ。

 

とは言え、イエローチェアハウス の家の作り方は随分と変わった。

 

構造材はすべてJAS製材

木材には、等級材と無等級材がある。JAS製材が等級材ということになる。JASはすべての人が安心して共通に支える尺度として国が示しているもので、それに適合している木材のみを構造材として使っている。

一見、当たり前のように思うかもしれないが、日本の製材工場は6,000ある工場のうち10%程度しかJASの認定工場はない。出回っている無垢の柱や梁はほとんどが無等級材(ほぼ検査されていない木材)。

基本的に『製材は、建築基準法上、指定建築材料ではないため、構造耐力上主要な部分に用いる場合 JASに適合させなくとも良い』とされている。そのため含水率の基準を超えなければ、使用上の問題はない、とされている。

なので、「いやいやそうはいかないでしょ」と構造計算をしたとする。すると、必要以上の構造材を要求されるという、逆転現象が起きる。一言で言ってしまえば、杉は弱い(無等級材ではそういう定義)ので「スギにしろ!」と言えば、大きくて太い材に指定される。費用対効果を別とすれば、住む人にとっては好ましいことと言える。

 

金物増加による強い接合

JAS金物による仕口の緊結。一棟あたりの金物コストは、2010年頃は15万円程度だったが、今では40万円ほどになっている。物凄い上昇率だ。

 

 

 

在来工法は木材と木材のつなぎ目が弱いとされてきたが、金物の進化とともにラーメン構造のような、強い構造体へと進化している。

多い壁量とともに、今や揺れが抑えられた建物と言えます。

 

耐震等級2(長期優良住宅)相当の構造

構造計算ソフトによる強度の確認。

*等級判定を得るためには、別途構造計算が必要となります。等級1も取得可能です。

 

鳥居の形を小屋組に採用

鳥居には、島木と呼ばれる横たわるてっぺんの木材の下に、必ず貫と呼ばれる木材が並行に入っている。この “貫” があるおかげで、倒壊しない。歪みも防いでいる。

数値には表せないけど、歴史が証明する形。

 

 

 

イエローチェアハウス では、小屋組みと言って、屋根を支える骨組みに、この形を使っています。この写真中央部あたりの鳥居と似ている部分を見つけていただけたなら幸いです。

これを愚直にも、震災以降ずっとやっております。

 

そして最も大事な基礎。

ベタ基礎

スラブの鉄筋は当時300ピッチだったが、現在は250ピッチが標準。

構造計算を施したものは、200ピッチ以下になります。

検査もしっかり受けてます。

 

 

 

安心で安全な家を作りましょう。

 

 

 

 

来月はミニマリストのためのミニマルハウスのオープンハウス 開催します。ぜひぜひ!

著者情報

阿部よしあき
阿部よしあきイエローチェア・ハウス代表
私たちの家づくりへのこだわりは、すべてはそこに住まい、暮らしの場を作られるご家族のためにあります。
ぜひ、一緒に工夫しながら家づくりを楽しみましょう!