新しいデザインシリーズ「MUKUデザイン」|Yellow’s Spirit 2019-11

今月のイエローズ・スピリットでは、新しく生まれた和モダンのデザインシリーズとなる「MUKUデザイン」の解説を、比較的近代の和~洋風建築への移り変わりと、和洋や時代感がミックスされたモダン建築のお話を踏まえながらお届けしたいと思います。

時代の流れに翻弄された大正ロマンと大正モダン

明治と昭和にはさまれた大正時代、その期間はわずか15年と短いものですが、大正デモクラシーにより、当時ヨーロッパやアメリカの企業が日本国内で台頭し、西洋文化が大量に民衆に流入する事となりました。
そんな背景もあり、竹久夢二、野口雨情や北原白秋など、彼らの作品には過ぎ去った時代の情緒やノスタルジックを感じます。(ちょうど茨城県近代美術館では10/27日まで夢二展が行われておりますね)

「日本」建築と「西洋」建築の大きな違いとは

西洋の建築は、レンガや石造りを主にし、それらに彫刻を施しアーチ上にせり上げて作り出すものが多く、壁を主体とした躯体の面を活かした構造になる「積み上げ方式」。
対して日本建築は木造で柱に対し、胴差し、まぐさ、梁を水平にかけていく「組み上げ方式」と言えます。

現代から見たモダン建築の先駆けとなった建築家たち

日本のモダン建築の代表的な建築家、藤井厚二は日本の風土にあった建物を作ることをコンセプトに、自ら建て、住んだ家を知人に譲ることをなんども繰り返しながら、聴竹居の完成にたどり着きました。写真のように曲線を採り入れ、「和の視点」から見事に溶け込んだ西洋建築のデザインが融合しております。

また採光や通風に配慮しながらも、建物内外からの景観が美しいですね。そして日本に数多くのモダニズム建築を遺していったアントニン・レーモンド。
YCHスタッフ内でも人気の日光にある旧イタリア大使館別荘は場所もあいまって、訪れた人々の心を豊かにしてくれる建物になっております。素材は日光、地元の杉をふんだんに使い、内壁や天井の素材は日光の杉材の皮を、網代に組み亀甲や市松などにデザインし、魅せてくれます。これまでの日本建築の既成概念にとらわれず、「洋の視点」で出来上がった日本のモダン建築です。

時の巨匠たちが教えてくれた「MUKUデザイン」

では、今回の新デザインMUKUデザインとは?一般的なモダン建築との違いはどういったものなのでしょうか。
上記のような時代背景や、偉大な建築家たちの建築哲学を考えた時に、様々なことを学ぶことが出来ます。

和の要素や洋の要素を上手く組み合わせることで、見ていて気持ちのよいデザインになること。
地産地消でその土地に合った最適な建物を考えることが、重要であること。そういった点を咀嚼し、YCH風の建物として考えたときに……。

  • 経年変化 無垢素材ならではの深みを増す経年の美しい変化を楽しめること。
  • 経年良化 年を経るごとに暮らしぶりが良くなり幸せを実感できること。
  • 経年美化 年を経るごとに生活が好きなもので美しく彩られていること。
  • 経年緑化 年を経るごとに家が庭の緑に優しく包まれてゆき自然と一体化すること。

以上のような4つの要素をメインに据えて、建物のコンセプトを考えていきました。
そしてデザインは、千本格子や下がり壁の曲線、洋風のアンティークタイル。時代を感じさせる様々なパーツを織り交ぜ、YCHでしか出来ないデザインと、それを再現する卓越した職人の技をフルに活かしました。
新しくなったホームページのLINEUPにも、MUKUデザインの生い立ちについての記述がありますので、ご参考にして下さい。カッコイイ大人の和モダン住宅をお考えの方、これを機会にお気軽にお問い合わせ下さい。