【日本の木でつくる古くて豊かなイギリスの家】イエローチェアハウス

50代のおすすめリフォーム イエローチェアハウス社長の自邸実例

 リノベの始まり:家づくり40年工務店社長の家物語スタート

 僕は創業40年になる工務店の代表です。

 たくさんの家づくりをお手伝いしてきましたが、自分の家はどうかというと、とてもお見せできるような家ではありませんでした。というのも、古いだけではない理由がそこにありました。

 26年前に先代の父があまりにも突然倒れ、アパレル業界から建築業界に転身したばかりの自分に工務店経営の責任と試練がのしかかってきました。今思えば、我ながらずいぶん度胸があったものだと思いますが、勉強を兼ねるつもりで自分の家づくりをこれまた突然にスタートさせました。まさに素人同然でしたが、おさまりと言われる建築の手仕舞いや工事の段取りは職人たちが教えてくれました。おかげで仕事は倍速で覚えました。

 しかし、肝心なところが抜けおちていたのです。肝心なところというのは、“性能”に関する分野でした。それは職人が教えてくれる技術、カタログにある素敵な建材や機器とはまったくの別物で、工務店の信念と探究が必要なものでした。イエローチェアハウスに訪れる多くのご家族が、外観のオシャレさや間取り、キッチンなどにまずこだわり、家の強さやあたたかさといった本来の性能そのものにはあまり頓着しませんが、僕もまったく同じでした。

工事前のわが家

 リフォームの舞台裏:大型補助金を活用した家族の冒険が始まった

さて、26年経った我が家。家族の評価は、このようなものです。

「寒くて、とても戻る気にならないわ」(家を出ているそろそろ結婚?の長女)

「キッチンの収納は高くて届かないし、洗面脱衣室は収納もないから物が片付かない。今ってパントリーとかあっていいよね……。」(奥さん)

「通りから家の中が見えすぎていや!(リビングにいたくない)」(専門学校に通う少し人見知りな次女)

「洗面台が使いづらい(化粧がしづらい)」(お洒落に余念がない高校生の三女)

 そして早起きがために暖房担当の僕は「寒いなぁ、明日の朝も起きるのがつらいな……。」と声にならぬ声でグチる(聞こえる声では同調した家族からの非難を浴びることになるため)。あわせて「リビングのソファーは子供たちと犬に占拠されて、ゆっくりするスペースがここにはない……。」とも。

 家族の共通した不満は、とにかく寒いこと。冬は家の中にいても吐く息が白くなるほどでしたし、リビングではエアコンとファンヒーターをいつも併用、朝はファンヒーターの前を取り合う始末。そういえば床暖房もあるものの、めちゃくちゃ電気代のかかるので使わなくなってすでに10数年。 そんなときに目に飛び込んできたのが、数々のリフォーム支援制度だったのです。 50代の家庭が、親や子との同居、夫婦の生活、これからの暮らし方を見つめ直すのにもよい機会でした。

 大型補助金の出現で築26年にして、ようやくリフォームの決断をしました。融資については、この歳でリフォームローンも躊躇しましたが、省エネリフォームは新築並みの低金利なものに該当できたので、工事予算の半分ほどを借りることにしました。「お客さまの見本にもなるしね!」と、あたかも仕事の一貫であるかのように奥さんに説得を試みました。ところが説得どころか、“渡りに船” だったらしく、嬉しそうに頷くのでした。今思えば、(男の夢はかっこいい車、女の夢は暮らし豊かな家)と、その感覚を分析しています。

 まずは4人家族と犬一匹が暮らし、夫婦で家庭菜園を楽しむなかむつまじい家族(笑)なので、もう少し広めの室内空間とリビングから庭への連続性がほしいと思っていました。ですので、【①コンサバトリーの増築】は家族の要望にピッタリでした。しかも【A先進的窓リノベ事業】を活用し、増築部分の窓には補助金をあてることができました。あわせて家全体の窓にも補助対象の高性能な内窓を入れることにしました。

 次に不満の多かった水回りは、【②キッチンと浴室、洗面台を交換】しました。ここにも【Bこどもエコすまい支援事業(=子育てエコホーム支援事業)】を活用し、省エネ性の高い機器類に補助金をあてられました。ちなみに、名称は「子育て」がついていますが、リフォーム部門はこどもがいなくても全世帯対象です。

 そして、古くなった【③外壁の上に断熱材を貼る】外張り断熱により家の性能そのものを変え、あたたかな家にしました。ここには、【C省エネ建材の実証支援事業】が活用できました。さらには、無償レンタルの【④PPA太陽光パネル】をのせると同時に、古いガス給湯機を【⑤おひさまエコキュート】に交換し、省エネ効果を高めました。ここにも【D給湯機省エネ事業】を活用できたのです。

リノベ箇所解説

① コンサバトリー  コラム “コンサバトリーとサンルーム:暮らしに潤いを与える異なる空間の魅力”

② キッチン、浴室、洗面台交換事例  コラム #新生活デザイン:モノ片付けから始める快適ライフ

③ 断熱リフォーム(外断) *後日詳細をアップします 

④ PPA太陽光パネル *後日詳細をアップします

該当補助金解説

 A 先進的窓リノベ事業 コラム 先進的窓リノベ2024事業で始まる新しい生活 〜窓リフォームで迎えた快適な変化〜

 B 2023こどもエコすまい支援事業(=2024子育てエコホーム支援事業)*後日詳細をアップします

 C 省エネ建材の実証支援事業 *後日詳細をアップします

 D 給湯機省エネ事業 *後日詳細をアップします

工事の軌跡:複数補助金とみんなの協力で築かれる新しい住まい

 建築中の苦労話も少ししておきましょう。

 複数の補助金をあてがいたい場合は、工事を分ける必要がでてきます。たとえば、「先進的窓リノベ事業」と「次世代省エネ建材の実証支援事業」といった2つの補助金を受ける場合は、請負契約も工事期間も明確に分けなければなりません。つまり、工事期間は余分にかかります。工事が長くなると仮に住みながらであれば、施主のストレスはかなりのものになっていきます。

 わが家においてはコンサバトリーの増築に始まり、浴室周りにキッチン改修、それから外壁の断熱改修工事をしましたので、補助金制度の都合上、3期に工事が分かれました。2月に工事が始まり、終了したのが12月です。じつに1年にわたる工事を余儀なくされました。「もう疲れた……。」 職人のほとんどが馴染みのあるメンバーとはいえ、うちの奥さんは日に日に疲弊度が上がっていくのがわかりました。ストレスからくる発熱や腹痛の時期もありましたが、職人たちがほぼ毎日来るので、寝込むわけにもいかず、はたから見ていても大変な様子でした。僕としては、じっとサンドバックを演じ、彼女の口撃を受けつつ少しでもストレス解消してあげることしかできませんでした(笑)

 とは言え、職人たちの気遣いやコミュニケーションはまったくありがたいもので、手前味噌ながらチームのよさを実感したのでした。そそくさと仕事に逃げる僕には一文字のくちびると薄目を向けていたうちの奥さんも、この点については手放しで感心していました。

 また補助金の支給時期があいまいなところも、業を煮やすものです。 事業室は振り込んでくれる日時をなかなか明言してくれません。工事はとうに終わっているのに、補助金の振り込みは半年後、なんてことは普通にあります。

満足と希望の新生活:リノベ完了で得られた家族の幸福

 とにかく、ようやく工事が終わりました。大変だった分、喜びもひとしおです。リノベーションはさまざまな苦労が伴いますが、苦労の分はかならず大きな喜びとなって返ってくることも分かりました。

 とくにうちの奥さんは、表情がまったく違うのです。しかも優しくなったと感じています(笑)

 綺麗になった外壁。「(近所の)〇〇さんが白すぎるって言ってたの。きれいになってまばゆい感じだそうよ。嫌味よね〜」と嬉しそうにあるとき話してくれました。

 「あー、もう……。雨が降ってるのとか寒いのとかわかんなくなっちゃて、ほんと困っちゃう。」どこまでも、にくにくしいうちの奥さんです(笑) さらには、キッチンまわりとかの収納が格段によくなり、片付けやすくなったことについては、つくろうことなく絶賛しています。これには、収納アドバイザーの存在も大きい。

 長女は「すごい変わったよね、なんかめっちゃあったかいんだけど、いま暖房つけてないよね?」と寒さが増した12月の年の瀬の頃、感想ともとれない疑念のようなものを漏らしていました。「結婚したら一緒に住んでもいいかな?って思ってるんだけど。」とも。してやったり?です。

  次女はコンサバトリーを増築したことにより丸見えだったリビングに”ブラインド”がかかり、いつも4女のココア(犬)とソファの上で開放的に戯れています。

  三女は、次女と鏡を奪いあっていた洗面台が広くなり、満足の様子です。しかも洗面脱衣室ですら寒くない空間に変貌したので、冬の早朝でも長々と自分磨きに余念がありません。

 僕自身も、我が家がとても好きになり、おかげでかなりの出不精になってしまいました。 何より、寒さを感じない点は去年までの暮らしとは大違いです。寒い早朝でも暖房なしで難なく布団を出られます。50代からのリフォームは心も体も健康的な暮らしを実現したいですね!

下の図は、夜の10時に暖房を消して、明朝の7時までの温度変化を示したグラフです。リビングの中央付近で足元と胸元あたりの高さ、外部の気温を同時に測りました。

無暖房でも、16.8度以下にはなりませんでした。

次回からは、具体的にどのような工事を進めてきたのか、解説していきたいと思います。

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この記事を書いた人

イエローチェア・ハウス
(株)住建社長
自称、素朴で豊かな暮らしを応援する家づくりマスター。手作りと国 産材、そしてイギリスのスタイルにこだわる地域密着のハウスビルダー 「イエローチェア・ハウス」というブランドを展開する株式会社 住建の
代表として、家族が幸せに暮らせる家づくりに挑み続けている。

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